「里親」と聞くと、保護犬や保護猫の里親をイメージされる方も多いのではないでしょうか?
実際、「里親」で検索すると動物の里親の情報が多く、人を育てる里親の情報はまだまだ少ないです。
そこで、このページでは社会的養護や里親制度について解説します!里親の役割についての理解に繋がれば幸いです。
社会的養護とは
社会的養護とは、様々な理由により産みの親と暮らせない子どもを公的責任において保護し、養育することです。それとともに、養育に困難を抱える家庭への支援を行うことも含まれます。
現在、社会的養護が必要な子どもは全国に約42000人います。(2022年3月時点)
このような子どもを養護するための施設が、乳児院、児童養護施設などであり、家庭における養育を行うための制度が里親制度です。
里親には
- 特別養子縁組里親
- 養育里親
- 専門里親
- 親族里親
の4つの区分があり、養育者の住居にて5‐6人の定員で行う家庭養育がファミリーホームです。
このグラフでもわかるように、現在の日本における社会的養護の約80%は、施設養育(児童養護施設や乳児院など)で行われています。子どもにとっては、24時間変わらない養育者のもとで安定した愛着形成を築くことや、一般家庭と同じような家庭的な環境で生活を続けられることも成長・発達において重要な側面です。里親家庭がもっと増えることで、実の親と暮らせない子どもたちが安心して暮らせる生活の場をもっと選べるようになるのではないかと思います。
子ども家庭庁「社会的養育の推進に向けて(令和5年4月5日)」より引用
なお、社会的養護に関する管轄はこれまで厚生労働省でしたが、子ども家庭庁の発足に伴い、2023年4月~子ども家庭庁に移管されています。
里親の種類
先ほど述べたように、家庭で養育する里親には4つの区分があります。
特別養子縁組とは
保護者のいない子どもや、家庭での養育が困難で実の親が親権を放棄する意思が明確な場合に、戸籍上も実の親子として親子関係を結ぶことを前提とした里親です。一定期間対象となる子どもを家庭で養育し、最終的には家庭裁判所の審判を受けて特別養子縁組が成立します。入籍すると親権も産みの親から育ての親に移ります。
ここで注意したい点は、特別養子縁組は、赤ちゃんが欲しい大人のための制度ではなく、「こどもの最善の利益のために」と「社会全体でこどもを育む」を理念として行われていることです。子どもにとって最善であるか、という視点がとても大事だと思います。
養育里親とは
様々な理由で産みの親と暮らせない子どもを、親元で生活できる準備や環境が整うまでの間、一定期間預かって養育する里親です。数週間程度の預かりになることもあれば、成人するまで長期にわたって委託を続けるケースもあります。「一定期間子どもを預かる」制度ですので、子どもの生活に関わる養育費や里親手当が支給されます。親権は実の親のままで養育里親には親権は移りません。1家庭に委託できる子どもの数は4人までで、それ以上の人数の委託となると、ファミリーホームという形になり、補助者を置く等、ファミリーホームの基準を満たす必要があります。
専門里親とは
被虐待経験や、非行等の問題を持っている子ども、身体障碍児や知的障害児など、一定の専門的ケアを必要とする子どもを養育する里親です。養育里親よりも難しい養育であり、専門的な研修を受ける必要があります。養育里親としての経験年数・これまでの委託件数も専門里親の条件になってくる場合もあります。専門里親の登録有効期間は2年間で、研修を受けて更新する必要があります。
親族里親とは
実の親が死亡、行方不明、拘禁、入院や疾患などで養育できない場合に、3親等以内の親族(祖父母、叔父、叔母など)が養育する里親のこと。子どもの負担を考慮し、養育里親よりも親族里親を優先することも多いと言われています。なお、通常は里親手当は支給されませんが、親族里親のうち、叔父叔母など扶養義務のない親族については、養育里親と同様に里親手当が支給されるようになりました。(2011年秋から制度変更)
養子縁組と里親制度の違いです。
日本財団 「養子縁組と里親制度の違い」
その他の里親
- 季節里親…お正月やお盆、夏休みなどに施設から子どもを迎える里親
- 週末里親…週末に子どもを家庭に迎え、一緒に過ごす
- 短期里親…短期的に委託を受ける
こうした里親の場合は、事前研修の有無など、各自治体によって運用が異なりますので、ご自身がお住まいの自治体の児童相談所にご確認ください。
このページの参考文献:公益財団法人全国里親会「里親の種類と要件」
いかがでしたでしょうか?次の投稿では、里親になるための要件について書いていきたいと思います!
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